1年生向け特別企画:競争と知財の小話【3】競争法はどのような行為を規制しているの?

 競争秩序を守る法律といっても、経済憲法である独占禁止法をはじめ、不正競争防止法や景品表示法等、実は相互補完している複数の法律で構成されています。昨年、フジテレビで放送された『競争の番人』というドラマは、独占禁止法とその執行機関である公正取引委員会を題材とした作品でした。

( 画像はフジテレビ番宣の引用です。

 

 競争秩序を守る法律は、具体的にどのような行為を規制しているでしょうか?今回は代表的な行為類型を簡単に紹介します。ますは、私的独占という反競争的な行為について説明しましょう。私的独占は、市場シェアが大きく力を持っている企業が、その力を濫用して他の事業者を支配または排除しようとする行為のことを指します。例えば、次のイラストで示されているような行為です。


 次にカルテルと呼ばれる違反行為についてご紹介します。カルテルとは、本来競争し合う関係にある企業同士が、競争を回避するために販売価格や販売地域などを秘密裏に話し合い、決める行為を指します。カルテルが形成されると、価格競争が排除され、消費者は通常安価に購入できる商品を高い価格で購入せざるをえなくなります。例えば、次のイラストで示されているような行為です

 

 

 前記のカルテルと似たような行為として、入札談合という違法行為もあります。建設工事等の入札において、本来入札価格を競争する関係に複数の企業が秘密裏に受注価格と落札者を、話し合って決めるというような行為です。競争があれば、通常安く済んだであろう工事費も、膨らむことになります。


 更に抱き合わせ販売や不当廉売といった不公正な取引方法も規制の対象となります。抱き合わせ販売は、高価値の必需品の購入を契機に、売り残った在庫品を一緒に買わせるために行われる行為です。不当廉売は、競争相手の経営を困難にし、排除しようとするために、意図的に製品を原価を著しく下回る価格で販売する行為を指します。

 

 露骨な違法行為だけでなく、企業合併や企業買収のように、一見すると正常な経営行為に見える行動であっても、高度の寡占又は独占をもたらす場合も、競争法の規制を受けることになります。

 競争法上、問題となる行為はほかにも色々あります。例えば、欺瞞的な商品表示や他人の商品の模倣等々。2年生からの経済法ゼミナールで、楽しく勉強していきましょう。

 

                                    (今回の説明で使われているイラストは、公正取引委員会の公表資料を元に編集されたものです。)

2023年10月14日